OVS & EXCELSIOR MILANO

OVS & EXCELSIOR MILANO

「プロジェクトの構想に着手したときにまず考えたのは、特殊な手作業でつくった洗練された感覚を強く主張する素材を使って、基本的には工業的なものに高級感のある外装つくることでした」このプロジェクトを手掛けた建築家のPedronとZitoはこう説明しています。「新しい物へ進んで挑む会社であることを良く知っていたので、De Castelliへ依頼しました。De Castelliならば我々がイメージしていた明るく、いろいろな色に変化し、しかも経年で酸化する金属の外張り材にまつわる技術的、スタイル的、機能的な問題点に一緒に取り組んでくれるだろうと思ったからです。」2015年のミラノ万国博覧会場の絶好のロケーションに置かれる2つのパビリオンの設計に与えられた時間はわずか80日。人通りの多い場所であり、パビリオンの主がそれぞれ掲げる異なる哲学をも反映させなければいけません。一つは大衆的ブランドのOVSで、もう片方は高級感いっぱいのExcelsior Milanoです。この二つの会社はファッションというキーワードで結ばれています。OVSブランドとExcelsior Milanoを通じて当万博のオフィシャルリテーラーであるCoinグループへもちかけられた初期の提案が具体的に確定したとき、このプロジェクトの建築家(兼大学教授)としてAlessandro PedronとMarco Zitoを選んだのは複雑ですが魅力的な挑戦でした。このプロジェクトのアイディアはPedronとZitoとDe Castelliが共同で開発した大きな菱形の金属板で葺いた風変わりな外装です。ヴェネト地方を拠点とする De Castelli社は、企業戦略として計り知れないほど奥深いイノベーションの探求を展開しており、建築用の金属製仕上げ材についての経験においては右に出る者のない存在です。Marco ZitoとDe Castelli社のCEOであるAlbino Celatoは、業務上のコラボレーションと個人的友情で繋がれた関係にあったこともあり、全く新しい菱形の外装が誕生しました。二つのパビリオンの外装は形状・施工的には似ていながら、OVSの場合はブラッシュ仕上げのアルミニウムの没個性的で工業テクノロジーを思わせるような輝きをつくり、Excelsior MilanoのパビリオンではDeLabré処理を施したコルテン鋼の金色がかったゴージャスな輝きでこの会社の洗練されたエクスクルーシブな性格を表現しています。両者とも、一枚一枚の金属板に手作業で施したテクスチャが、ずらして張った斜めのラインの躍動感をいっそう強調しています。

建築家 Marco Zito + Alessandro Pedron architetti
場所 ミラノ万博博覧会
2015
写真提供 Alessandra Chemollo

材質